急いで引き抜こうとしたら折れちゃった!

もう遅刻寸前ってときに限ってトラブルが起こるもの。

もともとその日はわたしが最後に家を出る予定じゃなかったんだけど、まずお父さんが会社に行って、その後兄貴が部活の朝連とかで出て行った。そんなグチャグチャ頭でよく恥ずかしくないものだ。わたしはそのあとすぐに出る予定だったのに、そんなときに限ってどうしても定期入れがみつからない。そこいらじゅうをひっくり返していると、うしろから母親が嫌味を言う始末。
「ちゃんとしまっておかないから無くなるんだよ。母さん先に行くからね。ちゃんと戸締りしてね!」だって。うるさいっつーの。
家にひとりきりで定期を探すわたしを犬が見上げている。いーな、おまえは気楽でさ。
でもこのあとわたしが出かけたらひとりでお留守番だね。それはそれで可愛そうかも。

あったー!昨日脱いだジャケットの下敷きだった!誰だ、こんなところに置いたのは!もちろんわたしだよバカヤロー!
大急ぎで玄関を飛び出してカギをかける。カギを引き抜きながら足は走り出す。そのとき「事件」が起きた。
妙な感触とともに一瞬なにかがカギを持つ手を引っ張った。
よろめきながら右手のカギを見ると、持っている部分から先が無い。
折れたカギの一部は鍵穴の中に残っていた。小パニックを起こすわたしは現場を放棄して駅へ走った。どうせすぐには何も出来ないんだ。
学校に到着するころにはだいぶ落ち着いてきて、まあなんとかなるだろうという気持ちになってきた。泥棒が入れるようになっているわけじゃない、むしろその逆なのだから。

学校も終わり帰るころになると、どうするべきか冷静に考え出していたけれど、結局答えの出ないまま家の玄関の前まで付いた。
なんだか変だ。よく見るとドアのノブ無くなっていた。
先に帰ってきた兄が鍵屋さんを呼んだらしいが、お金をあまり持っていなかったために取り外ししかしてもらえなかったらしい。その後両親が帰ってきて、めちゃくちゃ怒られた。